潜水服は蝶の夢を見る
2007年のフランス映画です🇫🇷
原題は『Le scaphandre et le papillon』
監督はジュリアン・シュナーベル。
世界最大手のファッション誌『ELLE誌』の編集長であるジャン=ドミニック・ボービー(マチュー・アマルリック)は、ある日、長男を乗せて新車を試乗中脳梗塞に襲われたが、 一命を取り留め、リハビリのためパリから北部海岸の街ベルクの療養所へと移床される。
3週間におよぶ昏睡の後、意識と記憶は回復し、音は聞こえるが、言葉を発することはできず、全身に亘っての重度の麻痺が残った『閉じ込め症候群(Locked-In Syndrome)』の状態に。
3週間におよぶ昏睡の後、意識と記憶は回復し、音は聞こえるが、言葉を発することはできず、全身に亘っての重度の麻痺が残った『閉じ込め症候群(Locked-In Syndrome)』の状態に。
全身の運動機能を失い、唯一動かせるのは左目のまぶたのみとなった彼は、言語聴覚士アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)の指導でそのまばたきのみで言葉を紡ぐことを覚え、自伝を書くことを決意する。
独特の映像美と音楽…
そしてジャン=ドミニック視点の卓越したカメラワークが素晴らしかったです。
ELLE編集長の自伝に相応しいファッショナブルで小粋な作品です。
海のシーンがたくさん登場しますが、まるで原風景を観ているようで、胸が締め付けられました。
主演のマチュー・アマルリックがサイコーに素晴らしかったですね。
彼…どこかで会ったことがあるような気がしていたのですが
『そして僕は恋をする』という1996年のフランス映画に主演していたチャラいお兄さん❗️
魅力的な中年になっていてちょっと感動しました。
その時はあまりピンと来なかったのですが
こうした状況をジャン=ドミニックが
『潜水服』
と比喩したこの作品を通して実感が出来ました。
※閉じ込め症候群(Locked-In Syndrome)
Plum and Posnerが提唱した名称で、意識が保たれ開眼していて外界を認識できるが、完全四肢麻痺と球麻痺(延髄の運動神経障害による麻痺)のため、手足の動きや発話での意思表出能が失われた状態を指す。
患者は寝たきりで四肢は全く動かせず、緘黙状態を呈する。
多くは橋底部の両側性の梗塞で生じるが、その他に、中脳腹側の両側性梗塞、橋の腫瘍、橋出血も原因となる。
この場合、眼球運動とまばたき以外のすべての随意運動が障害されるが、感覚は正常で意識は清明である。
単に意思表示の方法が欠如した状態であり、ほとんど完全に『鍵をかけられた状態』であることからこの命名がされている。
是非観ていただきたい作品です。