パーソナル・ソング

2014年のアメリカ映画です🇺🇸

監督はマイケル・ロサト=ペネット。



特効薬もないままに患者数が爆発的に増え続け、先進諸国で社会問題となっている認知症アルツハイマー病。
アメリカのソーシャルワーカー、ダン・コーエンは、患者が自分の好きな歌(パーソナル・ソング)を聞くことによって、音楽の記憶と一緒に何かを思い出すのではないかと思いつく。
早速その療法を実行に移してみると、娘の名前すら思い出せずふさぎこんでばかりいた94歳の認知症男性ヘンリーが、好きな曲を聞いた途端に陽気に歌いはじめ、仕事や家族のことまで饒舌に語りだすという効果が表れた。
さらに他の患者たちも、この音楽療法によって劇的な変化を見せるように。
人間が失われた記憶を取りもどす奇跡の瞬間をとらえ、新たな治療法の可能性を探っていく……。










👇ダン・コーエン先生です。


認知症のみならず、精神疾患においても、音楽療法の有用性というのは、かなり以前から指摘されていました。

そのことを本作を通して再認識することができました。

音楽を認識する脳の領域は、認知症に罹患しても比較的ダメージが少ないと言われています。

音楽は感覚と運動の両方を司り、脳の広い領域に反応することが知られています。

ドイツの哲学者カントは

『音楽は目覚めの芸術』

と述べています。



認知症になって眠ってしまった脳の機能を音楽によって目覚めさせよう!

というのがダン・コーエン先生の試みなのです。

大変興味深い作品でした。

無表情だった認知症の患者さんが、ヘッドホンから流れてくる音楽を聴いているうちに
にこやかになったり涙を流したりして変化していく様が本作では描かれています。

これってヤラセ?

と一瞬思ってしまうほどの豹変です。

音楽療法を全米に採用しようとダン・コーエン先生が奮闘する様も描かれています。

いろいろな寄付団体や認知症の団体からも
『これは医学ではない』とか『エビデンスがない』と言われてなかなか理解を得ることができないのですが

いや
この作品自体がエビデンスなんだと私は思いました。

音楽は人間に特有のものです。
チンパンジーは人間に近い知能を有していますが
人間にように音楽に合わせて身体を動かしたりはしないそうです。


ウォークマンを聴く猿のCMが話題になりましたが
そう言えば
ずっと目を閉じでは聴いてはいるだけで
身体を動かしたりはしていなかった…ですよね?



かなりお薦めの作品です。
是非観てください。