人質の朗読会
先日読了した小川洋子先生の『人質の朗読会』のテレビドラマ版(2014年)を観ました。
監督は谷口正晃。
脚本は杉原憲明。
南米のある村で、日本人7人と添乗員が乗ったマイクロバスが、遺跡観光を終えて首都に向かう帰路、反政府ゲリラに襲撃され、身代金と仲間の釈放を求める犯行声明が発表された。拉致現場は標高2000メートル級の山々が連なる山岳地帯、目新しい情報がないまま日本国内でのニュースの扱いは次第に小さくなっていき、遠く離れた地で起きているらしい事件に人々の関心は薄れていった。
ゲリラと政府の交渉は水面下で続き、発生から100日が過ぎたある日、軍と警察の特殊部隊がアジトに強行突入し、銃撃戦が繰り広げられた末に犯人グループ5人が全員死亡、特殊部隊員2人が殉職、犯人が仕掛けていたダイナマイトにより人質となっていた8人全員が死亡した。この凄惨な結末は、ニュースを忘れかけ、どこか楽観視していた世間の人々に大きなショックを与えた。
事件から2年後、国際赤十字が差し入れた救急箱などに仕掛けられていた盗聴器で、人質たちの音声が録音されたテープの存在が明らかになる。テープには人質8人がそれぞれ心に残っている出来事を物語として書き起こし、各人が朗読する声が収められていた。事件後、遺族を取材していたラジオ局の記者はテープが被害者が確かに生きていた証になると重要性を説き、かくして遺族の許可を得てラジオ番組『人質の朗読会』が放送されることとなった。
テレビドラマ版では人質は6人になっていました。
原作をほぼ忠実に再現していたと思います。
人物相関図です。
原作にあった『杖』と『冬眠中のヤマネ』のお話はなかったです。
『やまびこビスケット』は大谷直子さんが朗読しました。
大谷直子さんの娘役の波瑠さんが大谷さんの若い頃を二役で演じていました。
多分このお話が一番人気だったんでしょうね。
その時の回想シーンがかなり丁寧に描かれていました。
原日出子さんは『死んだおばあさん』を朗読しましたが、回想シーンは少なく、あっさり終わってしまいました。
長谷川朝晴さんは『B談話室』を朗読されました。
これも回想シーンが多く
原作にはなかった遺族である奥様(西田尚美)が登場し
その葛藤がちょっとだけ描かれていました。
原作を裏切らない作品でした。
テレビドラマ化した途端、派手な演出が施されて
原作と全くかけ離れた作品になることが多いのですが
本作は作者が伝えたかったことがきちんと描かれていました。
若干端折ってしまった章もありましたが💦
ご興味があればご覧になってみてください。
DVD化されていますし
Amazonプライムでも観ることができます。
でもまずは原作を読んでください。