人生、ここにあり!

2008年のイタリア映画です🇮🇹

バザーリア法の制定により、精神科病院が廃止されたイタリアで起こった実話を映画化したヒューマンコメディドラマです。
※バザーリア法…精神科病院の新設や精神科病院への新規入院を禁じた精神科病院廃絶法
監督はジュリオ・マンフレドニア。



1983年、ミラノ。
正義感が強いが異端児扱いされる労働組合員のネッロ(クラウディオ・ビジオ)は、自著がきっかけで別の生活協同組合に異動させられてしまう。そこに集まっていたのは、法律の改定で廃止した精神科病院を出され、行き場のない元患者たちだった。
ネッロはしっかりと稼げるような仕事を彼らにさせようと思い立つが……。









精神障害者たちが職業組合を結成し、互いに助け合いながら困難に立ち向かっていくというお話です。

原題はSi Puo Fare…邦訳すると『やれば出来る!』です。

例によってセンスのない邦題がつけられた映画ですが

イタリアらしいコメディタッチの楽しい作品でした。

実話とはいえ
精神科医としては
???
という場面も多く

あんなにうまくいく訳ないよね?

というのが率直な感想です。

もちろん、細かい苦難や苦労は端折って描かれているとは思いますが。

抗精神病薬の副作用で慢性的な眠気や思考障害、勃起不全などが本作で取り上げられていて

ともすれば薬物療法に対して批判的な様相も垣間見られます。
実際にネッロが精神科医に減薬や中止を訴える場面も登場しています。

しかし!
このお話は80年代のお話です。
作中にも『セレネース』という薬物名が出てきますが
当時は副作用が少ないSDAやMARTAが現在のように主流ではなく

特に統合失調症にはやはり薬物が欠かせないということを言及しておきます。

出演されている俳優さんたち…
実際に精神科病院で研修を受けて演じたそうです。
素晴らしい演技でした。



中に自閉症の患者さんが1名登場し
作中で緘黙を通していましたが
自閉症でも多弁な方はいらっしゃいますので
誤解のないように…

って思いました。

まずまずお薦めの作品です。
お時間があればどうぞ。