彼女が目覚めるその日まで
スザンナ・キャハランが2012年に上梓した自叙伝『脳に棲む悪魔』が原作です。
監督はジェラルド・バレット。
さらに幻視、幻聴、痙攣に悩まされるが、検査をしても結果は異常なし。
会話もままならなくなったことで精神科への転院を勧められる中、スザンナの両親や恋人のスティーヴンは疑問を感じ……。
抗NMDA受容体脳炎に罹患した女性の実話です。
日本では『8年越しの花嫁』という映画でご存知かと思いますが
恋愛模様が中心に描かれていた日本の映画とは異なり
本作は疾患についてかなり詳細に表現されていて
出演者の演技力もさることながら
作品の完成度はかなり高かったです。
『8年越しの花嫁』は医師目線からすれば観るに耐えない酷い作品でした。ゴメンなさい。
前駆症状があり
神経学的所見が必ずあります。
常に鑑別しなければいけない疾患の1つです。
急性発症の幻覚妄想状態では
必ずルンバール(腰椎穿刺)をして髄液検査をします。
※抗NMDA受容体脳炎
若年女性に好発する自己免疫性脳炎。
NMDA受容体に対する細胞膜抗体を介して発症しますが、卵巣奇形腫に合併することもあります。
映画のお話に戻ります。
主演のクロエ・グレース・モレッツ…
名演技でしたね。
見た目も可愛くて
ステキな女優さんです。
ただ…
作中でやたらペンを咥えていて
それがちょっと不快でしたが💦
いろいろな医師が原因究明のために頑張る姿が描かれています。
家族の気持ちとしては分からなくもないのですが
一生懸命検査をしている医師に対して
『もっと(医師に)プレッシャーかければいいのよ』
とか
『ダメなら別の医師にかかるまでよ』
などと発したスザンナのお母さん…
酷かったです。
やたら怒鳴り散らすお父さんよりも酷かったです。
私たち医師も人間です。
あまり心ない言葉ばかり浴びせられると辛くなります。
本作で登場した医師たち…
家族にキレてもいいし
強制退院でもいいのに
皆さん真摯かつ冷静で素晴らしかったです。
短めの作品ですが見応えはあります。
お薦めです。