さらば愛しき大地
1982年の日本映画です🇯🇵
脚本・監督は柳町光男。
茨城県鹿島地方。
田園地帯に押し寄せる工業群、その一角に小さな農家・山沢家がある。
そんなある日、幸雄夫婦の最愛の息子二人が沼で溺死してしまう。
孫を失い落胆する祖父と祖母、そして身重の妻(山口美也子)。
これを境に幸雄の生活は狂い始める……。
救いようがないお話ですが
昔の地方都市では決して稀有なお話ではなかったのかもしれません。
ムラ社会の閉塞感と
抜け出したくても抜け出せない呪縛感…
いざ抜け出そうとしても孤独や不安に苛まれ
我慢するしかない
そして転落していく必然性・・・
そんな底辺社会での生き様を描いた
まさに傑作だと思いました。
主演の根津甚八さんの演技が圧巻でした。
やがて幻覚妄想状態となっていく様は
その部分だけ切り取って精神医学の講義に使いたくなるくらい凄まじい描写でした。
↑蟹江敬三さんにシャブを打つシーン
本作では実際に注射針を刺して撮影されたそうです。
(今だったらありえない💦)
また薬物中毒患者をリアルに再現するため
根津甚八さんはかなり減量して撮影に臨んだとのこと。
やたらお水を飲んだり
地震が来ていると騒いだり
排水口から弟が殺しに来ると言ってタオルを詰めるシーンはかなりリアルでした。
そして何と言っても
愛人・順子役の秋吉久美子が美しかったです。
台湾バーで中島みゆきの『ひとり上手』をカラオケで歌うシーンがあるのですが
音程がビミョーに外れていて笑ってしまいました。
お見事!
名優がたくさん出演しています。
前述の蟹江敬三さんを始め
正妻役の山口美也子さん
皆さん、存在感がありました。
不快感しか残らないような内容ですが
昭和の名作だと個人的には思いました。
お時間があれば観てください。