異邦人の河

1975年の日本映画です🇯🇵

監督は李學仁。
在日朝鮮人が監督する最初の長編映画です。



ビルの谷間のゴミの中に倒れている皮ジャンを着た青年(朴雲煥、ジョニー大倉)が起き上がって歩き出す。
私鉄の踏切で何者かにドスで刺されてしまったこの青年が傷口を押さえながら歩道橋を上っていくと、少女(大関優子、現・佳那晃子)が川に身投げするのが目に入ったのであった。
青年は少女を助ける。
彼女は朝鮮語を喋る。
山本と名のる自動車修理工のこの青年は、李史礼という本名をひた隠しに隠して生活している在日朝鮮人で、少女はやはり方順紅という名前の在日朝鮮人であった。
史礼は順紅にも自分が在日朝鮮人であることを隠していたが、病院に見舞いにきてくれた彼女に『俺は李史礼だ。朝鮮人だ』とついに本当のことを告白してしまう……。








在日朝鮮人であることを隠して日本人として生きてきた青年が
在日朝鮮人の美少女と出会うことで悩みつつも
やがて朝鮮人としてのアイデンティティを確立していくというお話です。

キャロル解散後のジョニー大倉さんが在日であることを告白し
本名で主演された作品として話題になった作品です。

この直後、出演していたラジオ番組を降ろされたというエピソードもあり
在日の方々に対する差別が色濃く残っていた時代だったんですね。

昨今の韓流ブームからは考えられないお話です。


当時23歳だったジョニー大倉さん。
甘いマスクでなかなかのイケメン。
ただ、演技は台詞棒読みで💦💦でした。
ギターを弾きながら歌うシーンもありましたが
そちらはかなり素晴らしかったです。

ヒロイン役の佳那晃子さん…
こんなにキレイな女優さん、見たことないです。
演技力も抜群でした。


現在は難病(くも膜下出血後)で寝たきりだそうです。


本作が公開された1975年というのは韓国では朴正熙大統領の圧政が続いていました。

作中で中村敦夫さん演じる韓国から逃げてきたジャーナリストがジョニー大倉さんに一冊の書籍を紹介するシーンがありました。

金芝河民主化運動の象徴だった)が書いた『民衆の声』という本です。

この金芝河という人は当時死刑囚として投獄されていたそうです。
彼の解放運動が日本でも盛んだったようで
その有志の中にあの大江健三郎先生の名前が連なっていたシーンも本作で見られました。


韓国歴史の勉強になる作品でしたね。

モノクロ映像ということもあって
全体的には陰鬱な感じの作品です。
お時間があればどうぞ。