愛のお荷物

古い映画を観ました。

1955年の日本映画です🇯🇵
監督は川島雄三



戦後ベビーブーム
人口の増加を食い止めようと考えていた時の厚生大臣新木錠三郎(山村聰)は『受胎調節相談所設置法案』の施策を講じる。
ところが、錠三郎が厚生委員議会で人口軽減に関する大演説を行っている頃、四十八歳になる蘭子夫人(轟夕起子)が産婦人科で妊娠を告げられていた。
そればかりか、新木家の長男錠太郎(三橋達也)は、かねてから秘かに恋愛中だった錠三郎の秘書五代冴子(北原三枝)から愛のお荷物ができたらしいと打ち明けられる。
結婚式を控えた末娘さくら(高友子)も、実は近づく結婚が待ち切れず、許婚の出羽小路亀之助(フランキー堺)との間に愛のお荷物が出来てしまっていたのだ。
そんな中京都へ遊説に行った錠三郎は、かつての恋人貝田そめ(山田五十鈴)に訪問され、彼女との間に出来た子供の存在を知らされて愕然となる。
斯くして新木家の人口は一躍倍以上にはね上ることに。
そして新木家の御婦人たちは一斉に出産の日を待つばかりとなったが、さて日本の人口問題はどうなるやら……。









戦後のベビーブームでどんどん増え続ける人口問題に危機を感じる政治家たちの無為無策
上流階級の家庭内で次々と起こる妊娠騒動を
皮肉たっぷりに描いた重喜劇です。

『重喜劇』というワード…初めて聞きました。
軽い笑いばかりの喜劇ではなく、人間の真実を描いてずしりと腹に響く重い笑いの喜劇のことで
本作で助監督をされた今村昌平監督の造語らしいです。

テンポが良くて面白かったです。
『愛のお荷物』(=予定外に出来てしまった赤ちゃん)というタイトルも良かったです。
今なら、ましてや大臣がこんな表現をしたら大問題ですよね💦

この時代特有というか、川島雄三監督作品独特の
早口で情報量が多い台詞回しにはやや疲れましたが

登場人物が誰一人悪人じゃない(みんなそれなりにイイ人)というのでホッとできました。

エンディングのドタバタはやりすぎ感があって
少々稚拙な感じもしましたが
ドリフのコントのオチみたいで
許容範囲内でした。

大臣秘書役の北原三枝さんがめちゃくちゃ美しかったです。
昨今の女優さんには無いスタイルの良さと知的な雰囲気がステキで
昔の女優さんって本当に女優さんだったんだなぁ…ってしみじみ思いました。


北原三枝さんって今は亡き石原裕次郎さんの奥様ですよね?


大臣のお父様役で東野英治郎さんが出演されていましたが
仮病を使って大臣夫婦を騙すシーンで孫娘さくらからその演技力の素晴らしさを

『おじいちゃんは俳優座東野英治郎に似ているわ!』

と言って褒められたのには思わず笑ってしまいました。
こういう台詞を作中に持ってくる川島雄三監督はお茶目ですね。



作中に『ホグベン検査』というのが登場します。
妊娠の疑いがある女性の尿をガマガエルに注射し、解剖して卵巣に出血があったら陽性という妊娠判定検査…

1950年代に普通にあった検査法らしいです。



なかなかお薦めの作品です。
是非‼️
↓予告編…かなり面白いです。