沈まない三つの家

2013年の日本映画です🇯🇵

監督は中野量太。




《神田家》 

離婚することになる両親のどちらと暮すか、選択を迫られる姉妹。優しい姉(椎名琴音)は看護師の母を選ぶが、妹(松原菜野花)にはバランスなど考えず自分の幸福を考えて選ぶよう諭す。両親の愛情を試すようにコンビニで万引きし捕まる妹だが、両親とも仕事を理由に迎えに来ない。店長(木村知貴)は彼女に同情するのだが……。





《相模家》わがままな娘(中村朝佳)が駅まで迎えに来て欲しいと父親にせがむが、その父が途中で交通事故死してしまう。重荷を背負った彼女は、余命わずかで闘病中の叔父(泉光典)を熱心に見舞うのだが……。





《最上家》大きな川で遊ぶ男の子。母親(田中えみ)が目を離した隙に川に落ちて亡くなってしまう。以来その川で釣り糸を垂れ続ける彼女だが、そこにコンビニ店長の夫が現れて言う。『もういいんじゃないかな』と。その時釣り竿に何が引っ掛かる……。




大きな川が流れる街で暮らす3家族の悲しみや希望を描いたヒューマンドラマです。

川に落ちたわが子を釣り上げようとする女性とその夫

離婚する両親のどちらと住むのか苦悩する姉妹

ある目的のために死にゆく叔父を見舞い続ける少女

3つのオムニバスが群像劇として描かれていてこれらはリンクしています。

それぞれの家の苗字が川の名前になっていて描かれている川は多摩川でしょうか?

直面した死の形が川の流れに準えていて

淡々とした日常(生の形)と対比されています。

1つ1つはどうということはないお話なのですが70分という短い尺の中に情感がきちんと詰まった良作でした。

 

3つのお話に登場するコンビニ店長…                     良い人でしたね。



まずまずお薦めの作品です。
お時間があればどうぞ。


帰らざる日々

1978年の日本映画です🇯🇵

中岡京平先生の『夏の栄光』が原作です。

監督は藤田敏八





早朝の新宿駅
飯田行き急行に乗りこむ野崎辰雄(永島敏行)の姿があった。
突然おとずれた父・文雄(草薙幸二郎)の死が六年振りの帰郷を促したのである。
1972年の夏、辰雄の母・加代(朝丘雪路)は、若い女のもとに走った夫・文雄と別居し、母一人子一人の生活を送っていた。
当時高校三年の辰雄は、仲間たちとの溜まり場だった喫茶店の真紀子(浅野真弓)に密かに思いをよせていた。
そんな辰雄の前に真紀子と親しげな同じ高校の隆三(江藤潤)が現われ、辰雄はショックをうける。
隆三に挑む機会をうかがっていた辰雄は、マラソン大会の日に隆三とデッドヒートを繰り広げるが、かわされてしまう。
数日後、辰雄の気持を知った隆三はからかうが、隆三と真紀子がいとこ同士と知らずムキになる辰雄に隆三は少しずつ好意を持ちはじめていた。
高校卒業後は東京に出ようとしている辰雄、学校をやめて競輪学校に入る夢を持つ隆三、そして真紀子の三人は徐々に友情を深めていった。
しかしある盆踊りの夜、1年も前からつきあっている妻のいる男の子を宿していることを真紀子から知らされ、辰雄と隆三は裏切られた思いで夜の闇へ消えていった……。









作家を志しながらキャバレーのボーイをしている青年が
6年ぶりに帰郷する電車の中で回想する高校時代の青春の日々描いたドラマ映画です。

長野県飯田市で撮影された作品です。

永島敏行さん扮する主人公の友情と恋、初体験と別れがノスタルジックに映し出されています。

70年代…なんかいいですね。
とても不器用だけど一生懸命で
心にホロッと来ました。

タイトルはご存知アリスの『帰らざる日々』に由来するもので
劇中やエンディングで流れます。

子供の頃、少し大人びた同級生から教えてもらってこの曲を知りました。

当時は素敵なメロディだな…くらいにしか思いませんでしたが

これって自殺の歌なんですよね。

自殺企図して意識が薄れゆく中で恋人に電話をかける…という内容・・・
大人になって知りました。

本作は自殺とかそういうお話ではありませんが
この曲が作品に妙にマッチしていました。


イイ曲ですね。
私は自殺はしないけれど
私の葬儀ではこの曲を流して欲しいな…って思っています。

正統派の青春映画です。
今の時代には受けない内容かもしれませんが
今の時代と違って硬派な感じが良いですね。
私のお兄さん世代のお話ですが
ちょっとだけ共感しました。

いやー
これはかなりの名作です。

そして本作でも若かりし頃の中尾彬さんが出演されていました。
やっぱりイケメンですね。



お薦めの作品です。
お時間があればどうぞ。

愛しき日々よ

1984年の日本映画です🇯🇵

重兼芳子先生の『やまあいの煙』が原作です。

監督は保坂延彦




瀬川敏夫(門田頼命)は朝、いつものように海辺にある家を出て、仕事場に向かった。

彼は岡山県前島の火葬場の職員である。
中学を卒業すると父親からすぐこの仕事を受け継ぎ、一生の仕事にしたいと考えていた。
毎日仕事場に出ると、まず丹念にかまの掃除・点検をする。
そして裸になって全身を塩で清め、仏様が来るのを待つのだ。
敏夫には恋人がいた。
小野正子(かたせ梨乃)といい、老人専門病院で働く明るい性格を持った女性だ。
彼は結婚も考えていたが、自分の仕事を正子に十分理解してもらえるかどうか自信がなく、なかなか切り出せないでいた……。









瀬戸内海の海辺の田舎町を舞台に
火葬場で働く一人の青年の姿を通して
生と死、母子相姦、高齢社会、精神疾患認知症が描かれた作品です。

かなり重いテーマがたくさん詰まっていました。

昔の作品なので画像は良くないのですが

かたせ梨乃さんや江波杏子さんのヌードが素敵に映し出されていました。



主役はあのもんた&ブラザーズの門田頼命さん…
子供の頃大好きでした。



元々滑舌が悪い印象がありましたが
台詞の半分くらいが何を言っているかわかりませんでした💦

でも雰囲気はとても良かったです。

恋人のかたせ梨乃さんは理学療法士さんの設定でしたが
同僚役で原田大二郎さんが出演されていました。
(↓リハビリを受けるおばあさん役に浦辺粂子さんも)


精神疾患の息子を抱えるお母さん役に江波杏子さんも出演していて

ああ、Gメンだ!

って思ったのは私だけかも(笑)



最後に映画の打ち上げみたいなシーンが出てきましたが
これは人生の凝縮…という意味なんでしょうか?


最後の最後は
真っ白なスーツを着た門田頼命さんのとても象徴的なシーン…

この作品は初見だと真意が伝わらない作品だなって思いました。

お時間があればどうぞ。

※予告編が見つからなかったので

ちなみに…
西城秀樹さんの名曲『ギャランドゥ』はもんたさんが作詞作曲されました。
ご存知でしたか?

コリンヌ・クレリー/濡れたダイヤ

1976年のイタリア映画です🇮🇹

監督はパオロ・C・カヴァラ。




ミラノでそれぞれ殺害方法が異なる連続殺人事件が3件発生する。
不思議なことに、それぞれの犠牲者の傍には有名な絵本から切り抜かれた絵が1つずつ残されていた。
敏腕刑事ロメンツォ(ミケーレ・プラチド)が捜査に乗り出すが、巧妙に入り組んだトリック殺人を解決する間もなく第4、第5の殺人が起こっていく。
ファッションモデルのジャンヌ(コリンヌ・クレリー)は、かつて絵本の作者であるホフマン氏(ジョン・スタイナー)のパーティーに出席した自分が次の犠牲者になるのではと、ロメンツォ刑事に接近するが……。









フランスの至宝コリンヌ・クレリー主演の官能サスペンスです。

トップビリングを飾った割には出番が少なく
印象も薄めだったなぁ。

この方…70年代後半にセクシー女優として活躍し
〝ポストシルビア・クリステル〟とも呼ばれていたそうです。

多分私は初見だと思いますが
演技下手だし
女性目線ではたいして色っぽくないし、美人には見えなかったです。
チャーリーズ・エンジェル』に出てくる脇役みたいにしか見えなかった💦



その一方でロメンツォ刑事役の俳優さんはイケメンでしたね。



ストーリーは王道のサスペンスでしたが
無駄な会話や下ネタが多くて
ちょっとじれったい感じでした。

イタリア映画らしくみんなよく喋る(笑)
なので話がなかなか見えず
事件の真相にたどり着いた時には

え?
そういうことでいいの?

と少し首を傾げてしまいました。

スッキリしたようでスッキリしないオチでした。

ただ、70年代の映画って雰囲気があって
個人的には大好きなので
まあ良しとしましょう。

お時間があればどうぞ。


永遠に美しく…

1992年のアメリカ映画です🇺🇸

監督はロバート・ゼメキス




若返りに異常とも言える執着をみせるマデリーン(メリル・ストリープ)とヘレン(ゴールディ・ホーン)。

彼女達はそれぞれに巨額を投じて遂に不変の若さと美貌を保障する世紀の秘薬を手に入れる。

だがその秘薬は、たとえ死んでも絶対に死なない特効薬であった。

その為に事態は思いもよらないおどろおどろしさを呈し始める……。










美と若さに固執する落ち目女優と

彼女に婚約者を盗られて復讐に燃える女性

そして

2人の女性に翻弄される外科医の男性(女優の夫)

のドタバタコメディです。


ブラックユーモアたっぷりで

知る人ぞ知る名作です。


30年くらい前の作品ですが

令和の時代でも楽しめます。


今更ながらメリル・ストリープって芸達者ですね。

シリアスからこんなコメディめ演じることができる…ホントに素晴らしい女優さんです。




メリル・ストリープの夫役のこの俳優さん…

誰だかわかりますか?




髪の毛があった時代のブルース・ウィリスです。

最初わからなかったなぁ💦


まずまずお薦めの作品です。

お時間があればどうぞ。



たみおのしあわせ

2008年の日本映画です🇯🇵

脚本・監督は岩松了




父と暮らす民男(オダギリジョー)は、女性との付き合いが得意ではない青年。

そんな彼が父・伸男(原田芳雄)の上司の紹介で見合いをし、見合い相手の瞳(麻生久美子)と結婚を前提にした交際を始める。

優柔不断で何事も成り行きまかせの民男は無事に挙式の日を迎えるが、彼は本当の幸せを結婚に見いだすことができるのか……。









何事も成り行き任せの息子と

子離れができずにいる父親が

周囲の人々に翻弄されながら結婚に向けて奮闘する姿を描いた結婚狂想曲です。


岩松了監督作品ということでかなり期待していましたが

ストーリーの起伏が今ひとつで

途中で退屈してしまいました💦

(ゴメンなさい)



脇役が全員気持ち悪かったです。

お父さんの恋人の大竹しのぶさん

お父さんの義弟の小林薫さん…

演技派のお2人ではありますが

演技がわざとらしくて個人的にダメでした。




民男くんの婚約者役の麻生久美子さん…
苦手なタイプの女優さんですが本作では特に気持ち悪かったです。
(とんでもないビッチでした)


とにかくオダギリジョーさんと原田芳雄さん以外が生理的にダメでしたが

これって岩松了監督の作戦だったのかな?

脇役が全員ダメって言いましたが
ちょい役で出演されていた今は亡き忌野清志郎さんは良かったです。
(画像がないので本編でご確認ください)

何が言いたいのかよくわからないお話でした。
難解とか哲学的と評されている方もいらっしゃいましたが
う〜ん
ちょっと違うかな?

あえて哲学的と言うのであれば

結婚してもしなくても、どのみち君は後悔する

ということが言いたかったのかな?

お時間があればどうぞ。


或る終焉

2015年のメキシコ=フランス合作映画です🎬

第68回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した作品です。

監督はミシェル・フランコ





息子ダンの死を機に、別れた妻と娘とも顔を合わせなくなったデヴィッド(ティム・ロス)。
終末期の患者をケアする看護師として働く彼は、患者の在宅看護とエクササイズに没頭するだけの日々を送っていた。
患者たちに必要とされ、デヴィッド自身も彼らとの濃密な関係を率先して育む中、末期ガンに苦しむマーサ(ロビン・バートレット)から、頼みを聞いてほしいといわれる。

それは彼に安楽死を手伝ってもらいたいというものだった。

デヴィッドは、ある秘めた自身の過去と患者への思いの間で激しく葛藤する……。









終末期患者のケアにあたる看護師の男性が
ある患者から安楽死の手助けをして欲しいと言われたことから苦悩する姿を描いたヒューマンドラマです。

台詞少なめ
劇中に音楽はなく 
固定カメラによる長回し撮影がドキュメンタリー感を醸し出していました。

静かな作品です。

医療関係者にしか響かないお話かもしれません。

とにかく凄い作品でした。

とはいえ
ツッコミどころもあって

患者に寄り添う看護として描かれていましたが
過剰な看護のような感じもして
デヴィッドはその後セクハラで訴えられるのですが
何となくわかるような気がしました。

患者さんとの距離感…臨床でも介護でも大切です。
お国が違えば…なのかもしれませんが。



終末期患者を演じた俳優さんが妙にリアルでした。
るい痩の具合が特に衝撃的でした。



衝撃的といえばラストです。

ぼんやりしていると

え?
何が起こったの?

ってなってしまいます。

いや
ホントに
え?
って終わり方で
それが終演後も後を引きました。

まずまずお薦めの作品です。
お時間があればどうぞ。