やわらかい生活

2005年の日本映画です🇯🇵

絲山秋子先生のデビュー作『イッツ・オンリー・トーク』を基にした作品です。
監督は廣木隆一



優子(寺島しのぶ)は、一流大卒、大手企業総合職とキャリア街道を進みながらも、両親と親友の死をきっかけに双極性障害になってしまう。
しかし趣味のいい痴漢(田口トモロヲ)に出会ったことで生活が一変し、楽しい日々を送っていた。
そんなある日、福岡から上京してきた従兄の祥一(豊川悦司)や元同級生でEDの都議(松岡俊介)、うつ病のヤクザ(妻夫木聡)らが集まってきて……。








東京・蒲田を舞台に
双極性障害を患った独身女性と
4人の男たちとの風変わりな関係を描いた作品です。

優子のダラダラした生活と
蒲田の退廃的な感じがリンクし
観ていてやるせない気持ちになりました。

救いようのないお話でしたね。

作中にいろいろな『死』が登場しますが
最後に描かれた死が一番辛かったです。

リアリティのないストーリー展開で
だから面白かったです。

主演の寺島しのぶさん…
お若くて美しかったです。


演技力はこの頃からピカイチですね。
素晴らしかったです。

従兄である祥一を演じた豊川悦司さん…
スゴイ色気です。
この当時のトヨエツは無敵でしたね。
博多弁がなんか変だったけど💦



双極性障害についてはかなり忠実に再現されていていました。
(原作者自身がこの疾患を患っているそうです)

主人公が服用しているお薬の名前が劇中に登場しますが

う〜ん
かならハード💦
多剤投与されていて
こんな処方じゃ却って症状が悪化するよな?
なんて思いました。

ちなみに
うつ転した時にはレボトミンが追加。
今は服用していないけれどピレチアらしきお薬も登場します。

まずまずお薦めの作品です。
お時間があればどうぞ。


アクシデント すべてを失った女

2019年のアメリカ映画です🇺🇸

監督はティム・クルーズ。



ミーガン(アンナ・ハッチソン)は子供を乗せて運転していたところ、対向車とニアミスして事故を起こしてしまう。
対向車を運転していた少年たちは酔っ払っていて、
ミーガンたちを救助しないでその場から逃走してしまう。
そのせいでミーガンの夫と子供たちは亡くなってしまう。
それから一年後…空いた家で民泊サービスを始めたミーガンだったが、ある日見覚えのある車に乗った家族が泊まりにやって来る。
その家族はエイミー(ニッキー・ウィーラン)と娘のケイティ(アレクサンドリア・デベリー)、息子のルーク(リッキー・ガルシア)だった。
実はミーガンを見捨てた酔っ払い運転の車にはケイティが同乗していたのだが、当時彼女は泥酔していて覚えていなかった……。









事故で家族を失った女性が復讐を果たすクライムサスペンス…

なのですが

実際にはそうではなかったです。

被害者のミーガンは事故後精神的におかしくなっていて
警官や街の人たちからヤバい人みたいに見られていて

途中までは復讐劇の様相を呈していたのですが

まさかの展開!

ちょっとしたどんでん返しがあって

最後は予想を裏切る形の終わり方でした。

ハッピーエンドではありましたが
何故かバッドエンドを期待していた私は
この終わり方が少々物足りなかったです。

ま、いいかー。

家族のお話としては良かったです。

キレイな女優さんばかり登場する作品でしたね。
湖畔の景色やお家もとても美しかったです。




お時間があればどうぞ。


道化死てるぜ!

2012年のアイルランド映画です🇮🇪

脚本・監督はコナー・マクマホン。



ピエロのリチャード(ロス・ノーブル)は営業で呼ばれた誕生日パーティーで子供たちに散々バカにされてしまう。
子供たちは芸の邪魔をして笑い者にした挙げ句、なんと不慮の事故でナイフが顔に刺さり、ピエロが死亡してしまった。
時は流れて6年後。
高校生になった彼らは、反抗的でませた悪ガキに成長していた。
あの誕生日会の主役トム(トミー・ナイト)の16歳を祝うパーティーの最中、なんと蘇ったピエロが姿を現し、惨虐な手を使ってあの時の子供たちに次々と復讐を果たしていく……。








死んだピエロが生き返って復讐をするというホラーコメディです。

邦題がかなりふざけていますが
悪くはないかな?

復讐劇が始まるまではかったるい感じでしたが
その後はまあまあテンポ良くて
次々と殺戮が行われます。

血飛沫やスプラッターなど衝撃的なシーンが満載でしたが
ぼかしが入ったりモノクロになったりして
そんなにグロくはなかったです。
が、こういうのが苦手な人はきっと目を背けてしまうと思います。



ストーリー自体は特にヒネリもなく
学園ドラマ風で
ホラー映画の要素はイマイチだったかな?

主人公のトムはそんなに悪い子ではなくて
PTSDに悩まされる気弱な男子高校生といった感じでしたが

他のお友達がほとんど全員最悪でした。

トムの初恋の女の子ケイトもそこそこビッチだったし

頭の悪そうな子ばかりで救いようがありませんでした。


まあ自業自得なんでしょうけどね。

劇中のパーティーシーンで私の大好きなカッティング・クルーの『(I Just)Died in Your Arms(愛に抱かれた夜)』が流れてきて
ちょっとご機嫌になりました。




お時間があればどうぞ。


ファーストラヴ

本日公開の日本映画です🇯🇵

TOHOシネマズ日本橋で観覧しました。
島本理生先生の同名小説が原作です。
監督は堤幸彦



川沿いを血まみれで歩く女子大生(芳根京子)が逮捕された。
殺されたのは彼女の父親(板尾創路)。
『動機はそちらで見つけてください』
容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。
事件を取材する公認心理士・真壁由紀(北川景子)は、夫・我聞(窪塚洋介)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに彼女の本当の動機を探るため面会を重ねる。
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た『何か』を感じ始めていた。
そして自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの『ある記憶』と付き合うことになるのだが……。









一昨年の春、本作の制作に当たって医療監修の依頼があり
プロットから脚本までのお手伝いをさせていただきました。

原作は直木賞受賞直後に読んでいて
その当時、私たち精神科医の間ではツッコミどころ満載の著作として知られていました。

当初プロデューサーから
主人公の心理士を女性精神科医という設定に変更したいと言われ
脚本家の浅野妙子先生には原作と異なるプロットを作成していただきました。

ところが精神科医だとストーリーの辻褄が合わなくなり
原作を全面改訂しないといけないことになり
全く別のお話になってしまいため
再び設定を心理士に戻すという経緯がございました。

その後コロナ禍に見舞われ
ようやく本日劇場公開となりました。

サスペンス要素あり
ラブストーリーあり
裁判シーンもあり
出演者もさることながら
かなり豪華な作品に仕上がっていました。

作品を鑑賞して…
環菜役の芳根京子さんの演技が素晴らしかったです。
解離性障害やパーソナリティ障害の患者さんって
特徴的な喋り方や姿勢、手の動きをするのですが
それが自然に再現されていました。



北川景子さんは透き通るような美しさでした。
あんなキレイな心理士…滅多にいないけど💦


由紀のお家のシーンが登場しましたが
キッチンや間取りがかなりゴージャスでした。
公認心理士ってそんなに給料高くないんだけどなぁ💦
窪塚洋介さん扮する写真館経営の夫が稼いでいるのかしら?

迦葉役の中村倫也さんは今勢いがある俳優さんですが適役でしたね。
沈黙や間の演技が絶品でした。



木村佳乃さん演じる環菜のお母さん…
怖かったです。



最後にまさかのどんでん返しがあり
ミステリーとしてはかなり面白かったです。

お時間があれば観に行ってください。




観覧の後、舞台挨拶がありました(オンライン)。



パンフレットを購入しました。



エンドクレジットとパンフレットに私の名前が載っていて嬉しかったです。

パリ、嘘つきな恋

2018年のフランス映画です🇫🇷

脚本・監督は主演も務めるフランスのコメディアン、フランク・デュボスク。



亡き母の車椅子に座っていたジョスラン(フランク・デュボスク)は、偶然やって来た隣人のジュリー(カロリーヌ・アングラード)が介助を申し出たことから、とっさに車椅子で生活しているフリをする。
ジュリーは、彼に姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)を紹介するが、フロランスは車椅子生活を送りながらバイオリニスト、車椅子テニスの選手として活躍していた。
ジョスランは、デートを重ねるたびにフロランスに惹かれていく……。









嘘から始まる恋の行方を描いたロマンチックコメディです。

車椅子生活のフリをしたプレイボーイが真実の恋に目覚める…というお話なのですが

フランス映画っぽくなかったですね。
こういう嘘つきのお話…フランス人はあまり好きじゃないような・・・

でもテンポが良くて面白かったです。

主人公のジョスラン…
イケメンでお金持ちなのに次から次へと嘘をつく…
嘘なんかつかなくても勝負できるのに…

要するに病気なんでしょうね。

おそらく演技性パーソナリティ障害だと思われます。



一方のフロランス…
しっかりものの女性で素晴らしい人なんですが
完璧すぎて
一緒にいたら疲れそうだなー
なんて思いました。



個人的には
ジョスランのことが好きなのに振り向いてもらえない秘書のマリエ(エルザ・ジルベルスタイン)のことが気になって仕方なかったです。

落ち着きがなくて
空気が読めない女性でしたが
とてもキュートでしたね。
ジョスランと結ばれて欲しかったなぁ。



障害者や移民など
弱者やマイノリティの問題もさりげなく描かれていて
こういう視点はやっぱりフランス映画でしたね。

恋愛映画としては今ひとつパッとしない感はありましたが
なかなか深みのある作品でした。



お時間があればどうぞ。


想像ができない Impossible To Imagine

2019年の日本映画です🇯🇵

監督はフェリシティ・チラック。



京都で着物屋を営む女性・亜美(伊藤友紀子)。
年々業績が悪化し、父(森山和也)は廃業することを提案するが、亜美は亡き母から受け継いだ着物屋を何とか存続させたいと思っていた。
そんなある日、友人からビジネスコンサルタントの男性ハヤト(ウィリアム・八木・ルイス)を紹介される。
彼はオーストリア人と日本人のハーフで、亜美の店の再建を手助けすることになるのだが、ストレートな物言いのハヤトに亜美は最初反発するのだが……。









外国人監督による京都のお話です。
古都の映像美が満載されたステキな作品でした。

外国人から観た京都を描いた作品は昨今ありきたりな感じのものが多いのですが
本作はスタンダードではあるけれど
細やかな心理描写も加味されており
見応えがありました。

ドキュメンタリータッチな感じもして
(単に登場人物の台詞を棒読みだったからかも)
まあまあ面白かったです。


主人公の亜美…
想像力のない嫌味な女性でした。
いかにも京都人らしい。
(読者の中に京都人の方がいらっしゃったらすみません。私も短期間ですが京都育ちです💦)
お友達になりたくないタイプの女性でしたね。


何を勘違いしてんねん!
と何度か突っ込んでしまいました。

振袖を着たいという中年の外国人女性に
『あの歳で振袖なんてアカン。日本の伝統文化に触れたいんやったら日本の流儀に則ってもらわんと』と亜美が怒り出すシーンがありましたが

性格悪〜
さすが京都人やわー

観光で来てるんだし
好きにさせたらええやん!
文化の押し付けはアカンよ!

と思いました。


そして
コンサルタントの男性ハヤトさん…
ちょっと強引な感じはしましたが
イイ人でしたね。



お話はお店の再建とかよりも
亜美とハヤトの恋愛話がメインでしたが
それに京都の伝統や意固地さが織り込まれていて
作品としての完成度もまずまず高かったと思います。

お時間があればどうぞ。



ゴーストランドの惨劇

2018年のフランス=カナダ合作映画です🎬




双子で気ままな姉のヴェラ(アナスタシア・フィリップス、10代はテイラー・ヒックソン)と内気な妹のベス(クリスタル・リード、10代はエミリア・ジョーンズ)を育ててきたシングルマザーのポリーンミレーヌ・ファルメール)は、片田舎にある叔母の家を相続し、娘たちを連れて引っ越す。
だが、新居に到着して早々2人組の暴漢が家に侵入し、ポリーンは娘を守ろうと必死に抵抗する。
その出来事から16年後、ベスは小説家として成功したがヴェラは精神を病んでいた……。









絶望的な惨劇に巻き込まれた姉妹の運命を
全編に伏線と罠を張り巡らせながら描いたホラー映画です。

ネタバレするので詳細は記しませんが

ストーリーの時間軸に騙されます。

途中で心霊系ホラーの様相を呈していきますが
違います。

何でこんなことが起こっているの?

と観ながら混乱していきます。
お話の筋が全く見えて来ないのです。

終盤になってようやく真実が判明します。

観終わってみればそんなに複雑なお話ではなかったことに気づきます。

・・・といった感じで
なかなかマニアックな作品でした。

一言で言えば

変態系バイオレンス映画

ですね。

女性はこういう作品は苦手かもしれません。

真実が分かった時
恐怖感よりも胸糞悪さの方が際立ちました。


主演の姉妹がとても可愛かったです。



お母さんはフランスの歌姫ミレーヌ・ファルメール
今年で還暦なんですね。
全然見えない!
お美しかったです。



ホラー映画としては邪道な感じもしましたが
ま、好みの問題かも。
お時間があればどうぞ。

二度と観たくないけど二回観たくなる…なんていうキャッチコピーがついていますが
一回観れば充分な作品です。