偽りなき者

2012年のデンマーク映画です🇩🇰

監督はトマス・ヴィンターベア。



妻と離婚し幼稚園の保育士の仕事を始めた元教師ルーカス(マッツ・ミケルセン)。
妻が息子マルクス(ラセ・フォーゲルストラム)を連れて家を出たので今は独りだが、生まれ育った町で幼なじみの友人達に囲まれて暮らしている。
この地域には狩りをする習慣があって、父から息子へ代々受け継がれている。
そんなある日、隣家に住む親友テオ(トマス・ボー・ラーセン)の娘クララ(アニタ・ヴィタコプ)が幼い恋心を抱いたルーカスにプレゼントを返されたことから、性的虐待をされたと嘘をつき、ルーカスが変質者だという噂が町に広がる。
そしてついにはスーパーで買い物さえ出来なくなるなどルーカスを完全に孤立させてしまう。
無実の証明が不可能な中、ルーカスは孤独な戦いを続けるのだが……。








クリスマスを迎えるデンマークの小村を舞台とし
集団ヒステリーの対象となった男性を描いた物語です。

閉鎖的なムラ社会に恐怖を覚えました。
怖かったです。

『子供は嘘をつかない』という確信を持った大人たちが無実の男性を追い込んでいくのですが

いやいや
子供は嘘つきですよ💦

自分の欲望のためには平気で嘘をつくし
ついた嘘が心の中で本当になってしまう…

児童精神科医である私は臨床場面でしょちゅうそんな子供に遭遇していますから。



園長に呼ばれてクララに事の詳細を聴取する男性が登場するシーンがありましたが
あれは児童精神科医か心理士?

両親やその周辺の人たちはクララが性的虐待を受けたと信じているようでしたが
なのに彼女の精神的なケアを行なうセラピストが全く登場しないのは何故?

セラピーをしていけば彼女が嘘をついていること見抜けるんだけどなぁ…

なんてイライラしながら観てしまいました。

『地面に線があると歩けない。だから下を向いて歩かないといけない』というクララ…
嘘つきよりもこの症状の方が私は気になりました。

いろいろな意味でこの子の治療が必要ですね。

この子のお兄ちゃんも。
(幼いクララにポルノ画像を見せる兄って??
これが事件の発端になってしまったことが本作では一切解明されていなかったのが残念!)

最後は衝撃の結末でしたね。
ルーカスさん、もう引っ越しなはれ!
こんな町にいたらアカンよ!

と思わず叫びたくなりました。

後味悪い作品ですが
お時間があればどうぞ。