マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』を観ました。
2012年の英国映画です。
監督はフィリダ・ロイド。
イギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーの人生を、戦中の若年期から1990年の首相退陣に至るまで回想を挟みながら描いています。
政界引退後、認知症を患うマーガレットの実生活と重ねあわせながら、彼女のこれまで辿ってきた政治家、妻としての半生を振り返る構成で物語が進んでいきます。
既に亡くなっている夫デニスが幻覚としてマーガレットと生活を共にしているという設定であり、彼とのやり取りの中で、政治家としての生活を優先するあまり、妻として母としての役割を放棄してきた葛藤も描かれています。
反面、子供たちとの描写は少なめで、成人後の子供は娘のキャロルのみ登場し、息子のマークは登場しません。
本作が公開された翌年にサッチャー元首相は亡くなっています。
(つまり、存命中の伝記的作品です)
主演のメリル・ストリープが圧巻でしたね。
この作品で第84回アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
完璧なクイーンズイングリッシュで、途中から字幕なしで観ました。
さらにサッチャーと見紛うばかりの演技力と風貌、そして仕草も…
素晴らしい女優さんです。
晩年の年老いたサッチャー…
特殊メイクが凄かった!!
脳梗塞を繰り返し、激昂型の性格を鑑みると血圧も高かったと思われ、
『血管性認知症』であったと言われていますが
いや…
幻覚が著明でパーキンソン症状を伴っており
(劇中で手指振戦を気にするシーンがありました)、さらに進行の早さから
私はレヴィ小体型認知症だったのではないかと診断しております。
改めて映像で振り返ってみると
素敵な女性だったんですね。
あんな風にはなれないけれど
彼女のしたたかさと正義感と勇気…
見習いたいです。
お薦めの作品です。